旧民法が適用される珍しいケース

Mさんから相続の依頼を受けました。

被相続人はMさんの祖父で70年前に死亡しています。
Mさんの両親も既に死亡し、相続人はMさんを含めて6人です。
Mさんは「相続人が6人いるが、皆、高齢化してきているので早いうちに揉めずに相続手続きをしたい。」と要望しています。

こうしたMさんの要望とは裏腹に法律はビックリするような結末です。

Mさんの祖父の死亡年月は昭和20年です。
被相続人の亡くなった時期の法律が適用されます。
昭和22年5月2日以前に死亡した場合に適用される法律は旧民法の家督相続制度になります。

家督相続では一人の家督相続人が、前戸主の一身に専属するものを除いて、前戸主に属する一切の権利義務を包括的に承継します。
明治31年7月16日に施行された旧民法では、法定家督相続人になるのは被相続人の戸籍に同籍している直系卑属の男子が優先され、その中でも年長者が優先順位者とされていました。

つまり、この場合、Mさんだけが相続人になるのです。揉めるも揉めないもありません。遺産分割協議も必要ないのです。

この件はこれで、一件落着となりました。
旧民法が適用されるという極めて珍しいケースでした。

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